九年母関係入賞句紹介※五月号より
◇住吉大社松苗神事献詠俳句 入選者
天賞
類なき日本の四季苗木植う 平敦子
人賞
この地球救ふ一歩や苗木植う 柏原憲治
佳作
松苗や大地うるほす森となれ 小田美恵子
苗木植うえやみ無き世を願ひつつ 山本容子
未来とは今日ありてこそ苗木植う 影山里風
◇第23回NHK全国俳句大会入選句
西村和子選 佳作
夏空へ放り上げたる乳歯かな 藤井啓子
宮坂静生選 佳作
青空の下りて来るまで松手入 中谷明子
入選作品 自由題
落葉掃く音追ひかけてまた落葉 杉山千恵子
落葉踏む小さき足の好奇心 岩城久美
夕焼やひとり残りて逆上り 岩切寿美子
美しき歯形喜ぶ青林檎 有子山俊之
家族史の詰まりし残り毛糸かな 大成加寿子
阿蘇五岳燃やし尽して大夕焼 柏原憲治
参列の叶はぬ別れ鰯雲 片岡橙更
笹鳴や平家の塚の奥深く 岸本悦子
夕映えの名残放さぬ木守柿 小柴智子
山里は素にして豊か柿の秋 同
海見ゆるプラットホーム夏燕 塩見成子
大根煮る五人育てし割烹着 武本敬子
蕎麦を蒔く父祖の拓きし山の畑 同
淋しさを隠しきれない猫じやらし 中谷明子
小鳥来るもう子に勝てぬ腕相撲 同
地下足袋に卒寿の気骨豊の秋 深澤美佐恵
痩身の父の面影渋団扇 藤本かつゑ
夕立のあとの昂り野の百花 向田康江
大琵琶が旅路の果や雪解川 矢野君子
針を持つこともリハビリマスク縫ふ 渡辺しま子
題詠「行」
笑ひ声転がつて行く林檎園 杉山千恵子
あたたかや一行なれど母の文 小柴智子
車椅子押して行く波止島小春 末永拓男
コスモスを増やし快速電車行く 中谷明子
花野行く栞りし記憶拾ひつつ 山本容子
◇第二十一回 全国俳句大会in北九州入賞句
西村和子選 入選
秋晴の底に集まり漁舟 齊木富子
◇第二十二回 三木市俳句まつり
一般の部 佳作
ペン胼胝を宥めて起稿夜長の灯 岩水ひとみ
落葉降る空軽くなり広くなり 同
住む人の決まりし空家小鳥来る 長谷川美幸
奨励賞
身に入むや点滴と云ふ命綱 藤野志延