ブラジル「朝蔭」誌二〇二一年「第四十三回念腹忌」入選句
佐藤寿和選 特選句
(九年母誌友)
諷詠の絆は今も念腹忌 池田雅かず
誇らしきやまとの心念腹忌 平敦子
ミレーの絵偲びつ畑に種を蒔く 橋本文男
麗かや天地も風もワルツ舞ふ 大島浩子
うららかや電話の母の里訛 齊木富子
春眠の夢に吟行欲しいまま 戸田みつよ
種蒔いて豊穣の明日確かにす 山之口倫子
(ブラジル誌友)
師系ある事を誇りに念腹忌 サンパウロ 小斎棹子
念腹忌歩めど険しホ句の道 サンパウロ 田中美智子
念腹忌根付く遺産のゆるぎなく グァタパラ 脇山千寿子
外出を控へる通知木の芽吹時 サンパウロ 田幹夫
揺るぎなき自然の摂理木の芽吹く モヂ ダス クルーゼス 村上士郎
先のこと自然にゆだね種を蒔く スザノ福博 古賀マリア
極楽と現の狭間春眠す コロニア・ピニャール 織田真由美
同入選句
(九年母誌友)
麗かや異国の空の真青なる 宮下美智子
種を蒔く曲りたる腰さらに曲げ 島崎すずらん
一筋の畝に指先種を蒔く 上田治子
返信はにこにこマーク旅うらら 小柴智子
柔き土に心に種を蒔く 光山惠子
開拓の村包みゆく木の芽雨 猪谷信子
宮鳩に大空のあり木の芽晴 三木葛生
句の種は大地に育ち念腹忌 髙野さち
種を蒔く瑞穂の国のよき日和 小田美恵子
古代より今に受け継ぎ種を蒔く 大谷千秋
木々芽吹き心弾める庭仕事 今地千鶴子
拳あげマラソンゴール木の芽晴 渡辺しま子
父祖たちの開きたる土地種を蒔く 武本敬子
念腹忌長き絆を守る異国 白井貴佐子
大役を終へて揺椅子うららかに 阪下良子
若きらに越さるる山路木の芽晴 八木和代
春眠や淡き恋する夢心地 長谷川美幸
神門は海に展けて木の芽晴 稲家民枝